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[vsolj-news] vsolj-news 286: Nova Ophiuchi 2012 No.2



Subject: vsolj-news 286: Nova Ophiuchi 2012 No.2

                        VSOLJニュース (286)
                      へびつかい座に新星が出現

                                     著者:前原裕之(京都大学花山天文台)
                                   連絡先:maehara@kwasan.kyoto-u.ac.jp

 私たちの銀河系の中心方向に近いへびつかい座にはこれまで多数の新星が発見さ
れています。今年の3月に西村さんによって新星が発見されたばかりですが、今度
はオーストラリアのJohn Seachさんによって別の新星が発見されました。へびつか
い座の中に出現した新星としては今年2個目です。

 この天体はJ. Seachさんによって、5月19.484日(世界時、以下同様)に50mm f/1.0の
レンズをつけたデジタルカメラで撮影した画像から、10.5等級の新天体として発見さ
れました。前日の18.488日に茨城県の清田さん、18.614日に福岡県の高尾さんがそれ
ぞれ撮影した画像には、この天体は13〜14等よりも暗く写っていませんでした。この
新天体は1日ほどの間に増光してきたと考えられます。E. Guidoさんらによる確認観
測によると、この天体の位置は

赤経: 17時 39分 57.00秒
赤緯:-24度 47分 07.3秒            (2000.0年分点)

です。
 この天体の分光観測は岡山理科大学の今村さんの他、多数の観測者によって行なわ
れ、スペクトルに水素のバルマー系列の輝線のほか、一階電離した鉄や中性酸素など
の輝線がみられることから、この天体が古典新星であることが判明しました。分光観
測から、Hα輝線の速度幅はおよそ秒速3,000kmと報告されており、新星爆発によって
膨張するガスの速度が比較的速い部類に入る新星と考えられます。この新星は発見後
は急速に暗くなっており、発見直後は10等台でしたが、22日には11.6〜11.7等、26日
には12.9等ほどまで減光していました。今後の明るさやスペクトルの変化が注目され
ます。

参考文献
CBET 3124 (2012 May 26)

・新星の画像 (清田さん撮影)
http://meineko.sakura.ne.jp/ccd/PNV_J17395600-2447420-120521.jpg

・新星のスペクトル
T. Bohlsenさんの観測
http://users.northnet.com.au/~bohlsen/Nova/novaoph.htm

岡山理科大学(今村さん)の観測
http://blog-imgs-44.fc2.com/t/n/b/tnblab/pnOPH_20120522.png

C. Builさんの観測
http://www.astrosurf.com/buil/nova_oph2012_2/obs.htm

                                                           2012年5月28日

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